《3》「光葉のビバルディ証言」と「ビートルズの楽曲」についての推論(あくまでも仮説或いは妄想)
「アンクの書」の中で伊野部は携帯の着信音を「じゃあ『ビートルズ』にでもしておきますよ。」と言ってます。
実際にビートルズにしたかどうかは分からないけど仮にビートルズの曲にしたとします。
ビートルズの曲というのは、ハンブルグ時代のドイツ語のものとかも入れると220~230曲ぐらいあるけどビートルズのオリジナル曲だと誰もが認めてると思う曲だけでも200曲ぐらいはあると思います。
その中にはクラシックからコード進行をパクッタものや、ビバルディの春みたいに弦楽四重奏のものやバロック調のものもあります。
ディスコサウンドの喧騒の中でかすかに聞えて来て「ビバルディの春」と思ってる人の耳にはそう聞こえてしまいそうな曲ってないだろうか?って考えてみました。
「エリナーリグビー」「イエスタデイ」…なんかは弦楽四重奏だからありえるかとも思えるんだけど曲調が違います。
「ペニーレイン」の間奏なんかは、ピッコロトランペットだから音質は全然違うけど、曲調はちょっと面白いかと思います。
「オブラディ・オブラダ」はイントロのリズムがちょっと「ビバルディの春」っぽいかな、なんて思いました。
大きな音量に負けてる小さな着信音は、音程などは分からなくてビートみたいなリズムぐらいしか感じられなかったとも考えられます。
『伊野部吾郎はジャケットに入れた携帯に気づいた。ジャケットは椅子の背に掛けてあった。伊野部は携帯を掴み取り、通話ボタンを押して電話に出た。』
伊野部が電話に出たときの状況はそんなふうに書いてあります。
これだと、割合すぐに電話に出てる感じがします。
だったら、着信音はイントロしか鳴ってないってことも充分考えられるし…。
いろいろ考えて、伊野部は着信音を「ビバルディの春」から「ビートルズのオブラディ・オブラダ」に変えたんだと思います。
そのイントロだけをディスコサウンドに合わせて踊りながら聴いた光葉には、思い込みもあって「ビバルディの春」に聴こえてしまっても不思議ではないと思います。
(2009年3月2日更新) | |